エッセイ

Vol.40 聖地・ライムリージス巡礼 イギリスで恐竜三昧・後編

ロンドン・ウォータールー駅から電車で3時間。車窓を流れるのどかな田園風景にチラチラと目をやりながらも、持参した「メアリー・アニングの冒険」でしっかり予習して、最寄の駅アキスミンスターからバスにゆられ30分、坂の下に海が見えてきて、いよいよ海生爬虫類化石のメッカ、ライムリージスです。ネットで見つけた日本人の奥さんが経営する民宿「本屋の宿」にまずは投宿。丁度昼飯時だったのですが「海岸に出るなら今のうちですよ。」と言われ、よくよく聞くと、化石が出る露頭への道は、正午をはさんで約2時間ずつの干潮時を逃すと波の下になってしまうそうなので、食事は後回にし、何はともあれ、ブラック・ヴェンと呼ばれる露頭に向かったのでした。

真冬だと言うのに汗ばむ程の日差しで波も穏やか。この地を舞台にした映画「フランス軍中尉の女」冒頭の<風が吹きすさび荒波が突堤に砕け散る>シーンを半ば覚悟していたので嬉しい誤算、15分ほど波の引いた海岸を歩いてブラック・ヴェンへ到着しました。この様な所です。 転石を拾ってみると、あっけない程すぐにアンモナイトの姿が!。この日は2つ採取して味を占め翌日も通い、計3時間半あまりで、アンモナイトX4、腕足類(?)X2、それに運良く魚の部分化石もゲット。思わぬ収穫でした。もっとも足元を見れば波に浸食された巨大アンモナイトがゴロゴロしている様な所なので取れて当たり前なのでしょうが……。

さて、10分位歩けば一巡りできそうな小さな町の中に、化石店4軒、博物館1、恐竜や宇宙物のミニチュア(日本の食玩・恐竜ザウルスも揃えていた)を売っている小さなお店、さらに宿で子供だましだと聞いて、結局中には入らずじまいで正体不明のままの「ダイナソーランド」などがひしめいています。町のメインストリートは海に下る200〜300mしか無さそうな坂道なのですが、その中程に一番大きな化石店「The Old Forge Fossil Shop」が有ります。ウィンドーにはフェバリット・コレクションの骨格モデルも飾られていました。ここで魚竜のマグネット(ヒレ化石、いいですよ!写真 1)や渋い絵葉書(写真 2)等を購入。坂を下り海に突当たって左折すると「The Lyme Regis Fossil Shop」があり、ご当地産魚竜の、口吻こそ欠けているものの見事な頭骨を50万円程で売っていましたが、指を咥えて見るしかありません。

後の2軒の化石店は小さな土産物屋風でこれといった物は無し。海辺に建つ「フィルポット博物館」は、小さいながらもメアリーに関する資料等なかなかの見応えでした。片隅に古い絵本や玩具を集めたケースも(写真 3)。オリジナルの博物館グッズはメアリーが描かれた定規(写真 4)位しか無く残念。このメアリーの姿、是非、フェバリットでフィギュア化して欲しいのですが。
今回は一泊しかできなかったライムリージスですが、いつの日かのんびり滞在して化石三昧したいものです。アンモナイトの街灯がとてもいい感じでした(写真 5)。

*[参考] 町の写真を沢山載せているサイト

最後にロンドン自然史博物館(かっての大英自然史博物館)のレポートを極手短に。

見所:広大な壁1面を埋め尽くす海生爬虫類の大コレクションには度肝を抜かれました。天井が高すぎて上の方の標本が見えないのは困りものですが(写真 6、7)。恐竜展示は月並み。始祖鳥ロンドン標本の実物は拝めず。

ショップ情報:恐竜模型の老舗的存在だったあの大英自然史1/45シリーズが絶版になっていて、在庫処分で少数が投売りされていました。素晴らしい造型だけに悲しいですね。日本ではまだ出回っているので見つけたら即ご購入を。同じく大英自然史の刻印がある17cm程のシロナガスクジラを、僅か1ポンド(約250円)で買って来ました(写真 8)。

翼竜(写真 9):博物館の外壁を飾る動物等の彫刻の中にさりげなく混ざっていました。この翼竜、最近出版された小説「ストーンハート」の中でロンドン市街を飛び廻って(!)います。

田村博氏

田村 博 Hiroshi Tamura

ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。

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