新恐竜秘宝館

Vol.45 「子供の科学雑誌 その1 前編」2018.12.7

先日読んだ「ユリイカ 特集・図鑑の世界」(平成30年10月号・青土社)はとても面白くかつ勉強になりました。小林快次さんと土屋健さんの恐竜記事目当てに買ったのですが、それ以外にもディープな図鑑話が満載で、私が新秘宝館で「ぼくらの学習図鑑」を書く前に読んでいたらもっと話を膨らませられただろうになどと思った次第。しかし、もしやと期待した、古い未知の恐竜図鑑に関しての情報は結局無く、その点では「勝った!」と内心ほくそ笑んだのでした。
それにしてもこの「ユリイカ」、サブタイトルに「詩と批評」とうたっているにも関わらず9割以上はマニアな話。今年の2月号も「クトゥルー神話の世界」特集で、信者が熱い思いを語っていました。このテンションで恐竜特集も組んでほしいものです。

さて今回、子供向け科学雑誌を紹介したいのですが、その全貌は全くと言っていいほど闇の中。数が膨大なうえに表紙に恐竜の影もない本が多く、恐竜記事との出会いは少年漫画誌以上に神の思し召し次第です。とりあえず判っているものだけでも記録しておこうと思い「その1」としましたが「その2」を書くのはいつの日になることやら…。

子供の科学(誠文堂新光社)
大正13年に創刊された「子供の科学」が日本初の子供向け科学雑誌かもしれません。そして、現在刊行されている唯一の子供の科学雑誌でもあります!※wikipedia
10月に発売された11月号の特集は「生物絶滅のミステリー」で、恐竜もチラと登場するので購入し「恐竜本リスト」に加えましたが、これが実に通巻991号でした。ネットに「長寿雑誌と雑誌の起源」と題したコラムがあり、ランキングが載っています。何故か「子供の科学」は漏れているのですが、これに当てはめると長寿番付7位になるようです。この中から恐竜記事を探し出すのは至難の業。現在確認できているのは50冊ほどで、持っているのは18冊にすぎません。それも比較的近年の物で、戦前や50年代のものを探して「その2」で紹介するのが残された人生の課題のひとつかと。
*我家の「子供の科学」は既に群馬自然史に行っているので、残念ながらデータと表紙の画像(画像1)のみの紹介となってしまいました。

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●1973年1月号:学習漫画「恐竜の仲間を推理する」の連載が始まり、その後1年間続きます。
●1973年11月号:「ソ連からきた恐竜たち」
三保文化ランドで開催された「ソビエトの恐竜展」を紹介。
●1990年4月号:「これが恐竜だ!!」
恐竜を見なおす/新しい恐竜像/恐竜は今もいる?/子育て恐竜/日本にいた恐竜 等
●1992年11月号:「追跡!日本の恐竜たち」
手取層群の恐竜/発展する日本の恐竜研究
●1995年4月号:「恐竜の生命活動」
恐竜の卵から見た生活/家族と食から恐竜の生活を探る/恐竜の足跡から生活を見る 等
●1998年1月号:「恐竜教室・恐竜を考える」という漫画と世界の恐竜を紹介するコーナーがはじまり、99年4月まで連載されます。
●1999年5月号;引き続き「恐竜の仲間たち」のタイトルで、99年12月まで、翼竜や海棲爬虫類、単弓類等を取り上げた学習漫画が連載されます。
●2000年1月号:「巨大魚竜化石の発掘」
カナダから発見された、史上最大の魚竜の発掘レポート。他に絶滅哺乳類を解説する漫画「われら哺乳類」が連載開始。2000年8月号まで。
●2000年9月号からは恐竜紹介漫画「オイドンが行く恐竜の世界」が少なくとも2001年3月号まで続きます。その連載中にも恐竜特集が組まれています。
●2000年10月号:「恐竜はどんな生き物だったのか」 
発見・骨学・分類・展示/研究手段/分岐分類法/生息環境・習性/卵/足跡/古病理学と椎骨の強化/生体力学/分子古生物学/呼吸甲介の有無、と子供向けとは思えないハードな内容です。
●2001年3月号:「アパトサウルスの骨格を解体調査」 科博のアパトサウルスの解体調査の模様をレポート
●2002年8月号:「ティラノサウルス」
ティラノサウルスと鳥との関係を分岐分類で説明
●2007年8月号:「失われた生き物たち」
「生物の進化の引き金になった5回の大量絶滅」「失われた動物たち・さらなる絶滅を回避するには」の2部構成。
●2009年9月号:「化石発掘大作戦」
化石の基礎知識とアンモナイトセンターでの発掘体験レポート。付録にポスター「化石で見る生物の進化」がついていました。
●2012年8月号:「ここまでわかった!ティラノサウルスとその時代」
ティラノサウルスについての新しい情報を詳しく紹介。羽毛ティラノ登場です。
●2014年1月号:「化石をめぐるミステリー」
北海道にハドロサウルスの全身骨格がある?他
●2015年3月号:「化石発掘と復元」
ついに頭骨の一部が出た!北海道に眠るハドロサウルス類発見・発掘物語 他
●2016年5月号:「恐竜大発見史」
恐竜の発見と復元の歴史を辿る。
●2018年11月号:「生物絶滅のミステリー」
絶滅と絶滅研究のミステリー/史上最大の大量絶滅のミステリー/絶滅が地球にもたらすものとは?

この様に、最新の恐竜ニュースをいち早く取り上げ、子供相手にも容赦なしの深く掘り下げた内容は、ニュートンなど大人の科学誌にもひけを取りません。むかわ竜など、どの科学雑誌よりも先にレポートしています。
1998年1月から2001年まで古生物系学習漫画が途切れることなく連載されていますが、これは同一の作者、舟木嘉浩(構成)、関口たか広(まんが)によるもの。このコンビはそれ以前に「科学まんが西遊記・Let’s悟空」という漫画も連載していたようで、その中の恐竜エピソードを集めた単行本「恐竜ウォッチング」(1993年7月)が発売されましたが、98年からの一連の作品は残念ながら単行本化されていないようです。

「子供の科学」創刊90周年を記念して作られたサイト
で創刊号をはじめとする何冊かの内容を垣間見る事が出来ます。で遠慮なく垣間見たところ、1929年3月号の目次に「自然が語る太古の歴史」1941年10月号の目次に「生物のはじめ」という記事があり何やら怪しい。いつの日か手に入れるまで、恐竜が登場するかは確かめようもありませんが。
*余談ですが、目次に「恐竜」を発見しても当てにはならないよいうお話。最近、五木寛之のエッセイ集「みみずくの散歩」の目次に「イタリア人が愛する恐竜」というタイトルを発見、アマゾンで1円で売っていたので購入しました。五木寛之が恐竜を語るのかとちょっとは期待したのですが、やはり…「オペラはいわば現代の恐竜である。」の一言だけでした。

n_hihoukan_no2.png 45-2c.png 「子供と科学」(昭和書院)は「美空ひはり」「エノケソ」の様なバッタモン雑誌かもしれませんが、ネットにも情報が無いので判りません。1950年5月号の表紙は「ヒマラヤの恐竜とたたかう」となっていてゴジラ並の恐竜が戦車を踏みつぶしていますが、たたかうのは表紙のみで、記事は「地球の歴史」と題した2ページのもの。暴君竜、けん竜、三き竜、らい竜のイラストがありますが、これも群馬に有り、お見せできないのが残念。(画像2)

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n_hihoukan_no4.png 45-4.jpg なぜか私は子供の頃「子供の科学」も「子供と科学」も知らず、刷り込まれているのは、新秘宝館Vol.10で紹介した「科学クラブ」(東雲堂)です。なかなか濃い中身を改めてご覧いただきましょう。第1巻10号(1956年7月)(29p/30~31p/34~35p)の「地球・生物の進化・人類の発達」(画像3)と第4巻第1号(1958年10月)(6~7p/8~9p/23p)の「大むかしの生物」(画像4)です。画像3の中段のイラストは、有名なピーボディ博物館の壁画の左右を入れ替えただけ(樹木などは書き加えていますが)で、こんな事でいいのか?と嘆きたくなりますが、昭和の日本の恐竜イラストには良く有る話でした。

次に紹介する雑誌も、子供の頃に読んだ記憶はありません。

科学と学習(学習研究社)
1年から6年までの学年別に「科学」「学習」の2冊が毎月刊行されました。1946年から2010年まで続いたそうです。
※wikipedia
子供の写真を表紙にしたものが多く、ヤフオクで商品説明が無ければなかなか探せません。数も年間24冊ですから、干し草の針の方がまだ探せるかも。傾向としては大きな恐竜展があると特集が組まれた様です。そして5年と6年の科学には、時おり恐竜の骨格模型が付録として付いてきました。(秘宝館Vol.60)
ここでは我家に有る本のデータと写真やイラストの一部、それに恐竜を表紙にした号を年代順に並べてみます。

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●「3年の科学」1966年6月号
ネスこにきょうりゅう
きょうりゅうがほんとうにいるらしい事がわかったという短いニュース記事
●「5年の科学」1968年11月号(6~7p)
小さなものから大きいものを想像する話
化石から地球の歴史を学ぶという特集です。(画像5)
●「5年の学習」1971年4月号(4~5p)
日本列島にも恐竜がいた!
フタバスズキリュウ発見の物語を14pにわたって特集。首長竜VSサメはなかなかレアな構図です(画像5)
●「2年の学習」1972年10月号(67p)
きょうりゅうのひみつ 
若き日の小畠郁生博士が「きょうりゅうはかせ」として登場しています。(画像5)
●「5年の科学」1973年10月号(8~9p/18~19p)
キョウリュウ大陸 50pにものぼる大特集。古生代から新生代までを、動物のイラスト付き大陸分布図と化石の写真等で解説。ゴルゴ13風タッチの劇画「化石物語~ブロントサウルスのなぞ」は、有名なアパトトサウルスを追うアロサウルスとされる足跡化石の発見物語をハードボイルドに描いています。付録にブロントサウルス骨格キットも付いていてさらにお得。これだけの恐竜特集なのに、表紙が陸イグアナというのは何故???。(画像5)
●「2年の学習」1976年12月号
きょうりゅうびっくりずかん
●「5年の学習」1978年12月号
ゴビさばくにねむっていた恐竜たち
科博他で開催された「失われた生物たち―大恐竜展(ソ連科学アカデミーコレクション)」に合わせた特集。
●「6年の科学」1980年5月号付録
恐竜と化石図鑑(画像5)
●「2年の学習」1985年9月号
きょうりゅうイグアノドンのひみつ
科博の「特別展イグアノドン―ベルギー王立自然科学博物館所蔵」に合わせた特集
●「6年の科学」1988年1月号(10~11p)
恐竜 36pの大特集。海洋堂のキットを使った合成写真も(画像5)
●「6年の科学」1988年5月号(14~15p)
恐竜 第2弾はブラキオサウルス大特集。秘宝館Vol.60のブラキオ骨格キットが付録です。ジュラシック・パークでお馴染み立ち上るブラキオ、子育てするブラキオ、そして疾走するブラキオ等々、当時最新の「恐竜ルネサンスしすぎ」のブラキオサウルス像が紹介されています。(画像5)
●「4年の科学」1988年7月号
世界最大級の恐竜の博物館を大取材
●「5年の科学」1988年7月号
ハロー恐竜の赤ちゃん ロイヤル・ティレル博物館で恐竜の卵と幼体の化石を取材。この辺りから学研は、90年の幕張メッセ大恐竜博に向かって動き始めたのかもしれません。(画像6)
●「3年の科学」1989年6月号
きょうりゅうの赤ちゃんたん生!(4月号から、翌年の幕張メッセ大恐竜博に向けたキャンペーン漫画「幕張ミステリーゾーンが始まりました)
●「3年の科学」1989年7月号(4~5p)
日本にもきょうりゅうがいた!(画像6)
●「6年の科学」1989年11月号(8~9p)
最後の恐竜 様々な絶滅説をとことん紹介。
恐竜グッズなどが当たるクイズラリーもはじまりました。(画像6)
●「3年の科学」1989年12月号
カナダの恐竜軍団日本上陸
●「3年の科学」1990年1月号
ティラノサウルス登場!(画像6)
●「3年の科学」1990年2月号 大恐竜博
●「3年の学習」1990年2月号(24~25p)
カラフル恐竜、うそ、本当!?
いろいろな恐竜の疑問に答えるページと「大恐竜博」予告の「ティラノサウルスの頭骨クリーニング公開」。写真はクリーニング半ばの「ブラック・ビューティ―」だ!(画像6)
●「3年の科学」1990年3月号(3p) 
大恐竜博・よみがえる恐竜たち(画像6)
●「5年の学習」1990年8月号
日本とカナダで大発掘
●「6年の科学」1999年12月号
パイレーツの恐竜クリスマスだっちゅ~の
付録のCDを聴きながら当時の人気アイドル、パイレーツと一緒に白亜紀後期の北アメリカへ。恐竜が歌うクリスマスソングも入っています。
●「6年の科学」2000年1月号
ニワトリX3=恐竜!? ニワトリを三羽使っての恐竜骨格模型の作り方。化石標本セットのおまけも。(画像7)
●「6年の科学」2000年12月号
パイレーツのジュラシックリスマス
前年に引き続きCD付き
●「6年の科学」2002年11月号
〝化石"は太古からのメッセンジャー
化石発掘・標本セットの付録付き。(画像7)
●「4年の科学」2003年10月号
恐竜タイムスリップ「ステゴ」のママをさがせ! リニューアルされたステゴサウルス骨格付き。(画像7)
●「6年の科学」2003年10月号
恐竜復活 恐竜の発掘、復元の過程を写真で解説しています。化石発掘・標本セット付き。(画像7)
●「6年の科学」2004年4月号
よみがえれ!恐竜ワールド
化石発掘・標本セットの付録付き(画像7)
●「6年の科学」2005年4月号
化石は太古からのおくりもの
またしても化石発掘・標本セット付き。(画像7)
●「5年の科学」2007年2月号
ステゴサウルス大研究!
勿論ステゴサウルス骨格付き。(画像7)

n_hihoukan_no8.png 45-8.JPG 再三にわたって付録になっている「化石セット」とはこの様な物です。(画像8)
左は2000年1月号の化石標本セット。右は2005年4月号の化石発掘・標本セット。

ここまで書いたら想定外の長さになってしまったので、その他の雑誌は年をまたいで次回に。

今年の締めは、前回目標達成宣言し、コレクション完了した筈の「ジュラシック・ワールド炎の王国」フィギュア。
n_hihoukan_no9.png 45-9.jpg でもこんな物を出されたら買わないわけには…。(画像9)
左は前回「フィギュア化されない残念な恐竜」だったシノケラトプス。フィギュアにはなったものの、どう見てもパキリノサウルスでさらに残念な有様に…。でもパキリノサウルスとしてみれば味のあるいい顔をしています。
そして右はインドミナス・レックスの全身骨格。全長45cm程のなかなか立派なものです。「Quest For Indominus Rex」と名付けられた、あのプールの底に沈んだインドミナスのDNAを採取しに行く映画のシーンを再現するプレイセットのもの。他に潜水艇と既発売の巨大モササウルスが入ったセットなのですが、私は運よくモサ抜きの物をセカイモンで購入できました。あの巨大なモサが部屋に2匹もいたらもうお手上げです。他にロックウッド邸に飾られていた?ティラノの頭骨とメイジーのフィギュアセット極小ティラノ付きも、つい買っちゃいました。

n_hihoukan_no10.png 45-10.JPG で、CDケースを処分して作った「炎の王国の部屋」はこちら(画像10)。ついでにインドミナス・セットを使って遊んでみました。

今年も1年間、ご愛読ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

田村博氏

田村 博 Hiroshi Tamura

ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。

田村 博氏のオフィシャルサイトはこちら

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