新恐竜秘宝館

Vol.42 「モササウルスは生きていた!」2018.6.8

「ジュラシック・ワールド2/炎の王国」の公開までまだ一月半もあると言うのに、既に我家には飾る場所もないJW2フィギュアが14体ほど床にころがっています。まだまだ序の口でこの先どこまで増えるか判らないJW2グッズ対策として、ジャズのCDを大量に処分してJW2コーナーを作ろうなどとジャズピアニストにあるまじき事を考えています。そう言えば25年前にもLPレコードの棚をJPフィギュアに明け渡した様な記憶が…。

今回のフィギュア、メーカーが「ハスプロ」から「マテル」に変わり、ギミックだらけのオモチャ路線からリアル路線に少しシフトチェンジしたようで、初期のケナーのJPフィギュアを彷彿とさせます。ギミックは控えめ、そしてJPシリーズで定番化していた傷口表現(回を重ねるごとにエスカレートし、前回は殆どの恐竜フィギュアに骨まで見えるむき出しの傷口が刻まれていて痛々しかった)も今回は「バトルダメージ」と銘記された恐竜だけに限定、それも初心に帰って取り外し式の皮膚で覆われているのは喜ばしい事。そして一新されたのが、第1作目からの伝統だった皮膚に焼印風に描かれたJPのロゴマーク。今回廃止され代わりに足の裏などに小さなシールが貼ってあります。

*過去のJPフィギュアについては「新・秘宝館Vol.24Vol.25Vol.26」をご覧ください。「ジュラシック・ワールド」公開に合わせた3回にもわたる大特集。22年ぶりとあって熱くなった夏でした。あれからもう3年も経つんですねえ…。

3年前私は、「ジュラシック・ワールド」の終盤、インドミナスを咥えてプールに没したモササウルスは3年先には飢え死にしているのではないか、あの雄姿を2度と拝めないのでは?と心配したものですが、杞憂でした。ウィキぺディアによると「モササウルスはジュラシック・ワールドのウェブサイト上で湖の施設から海洋に逃げ出した事が確認されている。パーク崩壊後、放置されて来た為、食べ物となる獲物を求めて湖の施設から海洋に移動した。」

って、これって大ごとじゃないですか!しかも予告編を見るとサーファー達の足元に忍び寄る巨大な影が!このシーンだけであまたのお馬鹿サメ映画(案外好きです)を蹴散らし名作「ジョーズ」にも迫るインパクト。イスラ・ヌブラル島の恐竜達は火山噴火から助け出されるらしいのですが、モササウルスは退治されてしまうのか?ぜひとも生き延びさせ、モサを主人公にしたスピンオフ映画を作ってほしい所です。そんなわけでJW2フィギュア紹介、まずはお気に入りのモササウルスから。

今の所発売を確認したのは3種類。ひとつはミニシリーズ(前回紹介した前売り特典…そう言えばパキケファロサウルスとして紹介したのはスティギモロク(!)のスティギーでした。ここでお詫びと訂正をいたします)の物、もう一つはFisher Priceの幼児向け玩具ですがいずれも未購入。唯一手に入れたのが驚くほど巨大(72cm)なフィギュアです。(画像1)
n_hihoukan_no1.png n_hihoukan_42_1.jpg 大きいだけで何の芸もしないし(顎と鰭を手動で動かせるだけ)、プロポーションも頭でっかちで不自然なのですが、見る角度によっては凄い迫力です。そして最初は気がつかなかったのですが、モササウルスの特徴のひとつ、口蓋歯が表現されているのにはびっくり。写真では判りやすいように画面上で白を塗ってありますが、実際は無彩色なので殆どの人は気がつかないでしょう。なんで色を付けなったのかは謎。まあおもちゃですから、必要なしと省略されたのかも。最後の写真はJWの時のアクションフィギュアとの2ショット。デカさが一目瞭然!

口蓋歯という思わぬ発見ですっかり気を良くしてしまったのと、JWモサを一種しか紹介できないのも寂しいので、急遽、我家のモササウルス(海トカゲ)類を集めて、モササウルスフィギュア大会開催です。

モササウルス類はメジャーな古生物ですが、フィギュア人気はいまいちで、中生代の海棲爬虫類人気ランキングでは首の長い首長竜プレシオサウルス類に大きく水を開けられ、近年では首の短い首長竜プリオサウルス類にも猛追されています。例えば古生物フィギュアが充実しているコレクタのラインナップでは、海トカゲ類2に対しプリオサウルス類は5種類も出ています。海トカゲ類の主だったメンバーがモササウルスとティロサウルスだけと言う事はよほどマニアックな物を出さない限り一社2種までと言う事、しかも外見上両者の見分けがつかないとなると、模型的に面白みが無いのでしょう。それでもそこそこの数のフィギュアがありました。

*モササウルス類はこの10年程の間にウロコ表現をやめたり尾鰭を付けたりしてリニューアルされ、ブリアンの絵でエラスモサウルスと戦っていた頃とは随分とイメージが違ってきています。ちょっとおとなしめになり、海ワニ類(なぜか昔から尾鰭が描かれている)と見た目が被ってきています。(海ワニは後鰭が長いのでかろうじて区別がつきます。)そんな昨今の軟派なモササウルスを、トゲトゲの尾とゴツゴツした背中で昔の獰猛な海の怪物に復帰させたのが前作「ジュラシック・ワールド」でした。

*海ワニのフィギュア事情はもっとお寒く、知っている限り、海洋堂ダイノテイルズシリーズのメトリオリンクスとサファリのプレシオスクス、そして輸入ガレージキットのリオプレウロドンにおまけとして付いていた小さなメトリオリンクスだけです。

さてまずは
口頭歯がモールドされた物(画像2)
n_hihoukan_no2.png n_hihoukan_42_2.jpg 左はコレクタのモサ、右はサファリのティロサウルスです。リアルでとても良い出来です。下はジオワールドの発掘キット。モサです。唯一の3D骨格模型。肋骨が中途半端なのが残念ですが、全体にいい感じです。

口頭歯が省かれている物(画像3)
n_hihoukan_no3.png n_hihoukan_42_3.jpg ①最近出回っているリアルクリ―チャ―ズフィギュアのモサ。40㎝もあり大味ですが、迫力はあります。手荒に遊んでも壊れない中空ゴム製で、昔懐かしい中国製ゴム恐竜の感触です。
②③サファリの新旧モササウルス。並べてみると旧作の方がカッコいいなあ…。
④タカラトミーのアニアシリーズ。アニアからは今月末、JW2のフィギュアシリーズが発売されます。ティラノもモサもラプトルも焼き直しではなくJWバージョンの新作の様です。
⑤コレクタのティロサウルス
⑥パポのモサ。パポはリアルさよりカッコよさを追及している節があり、これも実に格好良いです。

ガレージキットⅠ(画像4)
n_hihoukan_no4.png n_hihoukan_42_4.jpg 上左は海洋堂・荒木一成さんの1/35ティロサウルス。80年代の物。ベースはちょうちんあんこうのプラモデルから借用した物ですが、借用せず箱のままとってあったらかなりのお宝になっていた筈の代物です。右は恐竜造形家として活躍する徳川広和さんの若かりし日の作品で前に一度紹介しました(秘宝館Vol.64)。実はモササウルスとプリオサウルスのキットを私が勝手に組み合わせたものです。実際にこの様な場面があったかどうか判りませんが、白亜紀後期の海ではモササウルス類がプリオサウルス類にとってかわったそうです。下は荒木さんの50cmは優にある巨大なモササウルスと海洋堂ディノランドシリーズの完成品モサ。原型は多分松村しのぶさん。

ガレージキットⅡ(画像5)
n_hihoukan_no5.png n_hihoukan_42_5.jpg これは長い間放置してあった、大昔ワンフェスで購入したガレージキットの1/72モサ。この機会を逃したら一生作る事は無いだろうと思い製作。色はJW色にしました。出来うんぬんよりも手書きのパッケージや“設計図”が当時を思い起こさせ、ついしみじみとしてしまいます。設計図の端に〈H5.1.17 WF〉とあり、奇しくもジュラシック・パーク公開の年。まだワンフェスが晴海の国際見本市会場で開催されていた時代です。なんだか夢の様です。
*ベースは博物館のショップでよくお目にかかるカロラータの白亜紀ボックスのモサの物を借用。

お宝コーナー(画像6左)
n_hihoukan_no6.png n_hihoukan_42_6.jpg *⑤意外は再登場です。
①クローバー1/50恐竜シリーズ(詳しくは秘宝館Vol.38をご覧ください。)
② Starlux (新・秘宝館Vol.8
③Island Enterprises(新・秘宝館Vol19
④Shreddies(新・秘宝館Vol.8
⑤SRGアメリカの40~50年代の物。ずっしり重いブロンズ製です。(秘宝館Vol.5にSRGの事がちょっぴり載っています)

その他いろいろ(画像6右)
①レゴのモサ
②サルガッソ本舗 最近イベントなどで見かける、サメや古生物の立ちポーズディフォルメモデルを作っているメーカーのティロサウルス。
③先ほどのワンフェスのキットにベースを奪われたカロラータのモサ。
④バンダイの食玩「リアルサウルス」(1997)
のモサ
⑤正体不明の消しゴムモサ

その他の食玩などはこちらに詳しく載っています。
恐竜おもちゃの博物館
モササウルス
ティロサウルス

そして高価過ぎて買えないサイドショウのモササウルスも…いつか手に入れてヤルゾ!

n_hihoukan_no7.png n_hihoukan_42_7.jpg モササウルスコーナーの締めは、このところ度々登場する19世紀の古生物石版画シリーズから。まるで首長竜の様な19世紀版モササウルスの雄姿を堪能してください。(画像7)

n_hihoukan_no8.png n_hihoukan_42_8.jpg JW2フィギュアに戻りましょう。
今回もまた主役はティラノとヴェロキラプトルの様です。ティラノは数種類発売されていますが、我家にいるのはまだ2匹のみ。モサをはるかに上回る超巨大(1m強!)な「スーパーコロッサル」は存在感抜群ですが、モサ同様シンプルで、顎、手足を動かすのは手動。咆哮も無し。口に入れたものをお腹から出すというJPロストワールドのティラノ伝来のあまり楽しめない仕掛けは有りますが…。そして小さい方(といっても50cm以上あります)の「スラッシュ-アンド・スロー」は尻尾を操作する事で上半身が様々なアクションをし、足音や吠え声まで発するという優れ物です。
(画像8 足元にいる虫の様な物は前回紹介した前売り特典フィギュアです。)

n_hihoukan_no9.png n_hihoukan_42_9.jpg ヴェロキラプトルは「アタックバック」シリーズからブルー(左)と野生?の個体が発売されています。このシリーズには他に、前回から登場のディモルフォドン、古参のガリミムス、やはり初回から毒液を吐き続けているディロフォサウルスがいます。(画像9)

n_hihoukan_no10.png n_hihoukan_42_10.jpg 30cm程のロアーボア―ズシリーズと40cmクラスのアクションアタックシリーズは背中のボタンを押すとアクションをします。ロアーボア―ズのアロサウルス、バリオニクス、メトリアカントサウルスはボタンを押すと口を閉じて咆哮という「ん?」なアクション。トリケラは首を振り、アタックのカルノタウルスは音無しで噛みつく動作をし、ステゴは尻尾を左右に振ります。このうちアロ、バリオ、カルノは過去にフィギュアは発売されていますが(新・秘宝館Vol.25)映画には初登場です。そしてなんで唐突にメトリアカントサウルス???実は一作目でネドリーが冷凍された胚を盗むシーン、胚を収めたシリンダーの一つにメトリアカントサウルスの名前が記されているのです。納得です。(画像10)

次回は、さらに増え続けると思われるJW2グッズや今年も開催される「博物ふぇすてぃばる!」の戦利品の紹介など、盛り沢山になる予定です。

田村博氏

田村 博 Hiroshi Tamura

ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。

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