新恐竜秘宝館

Vol.39 「ゴジラ立ちティラノの逆襲」2017.12.8

前回ブリアン・ティラノを作ってから、妙にゴジラ立ちティラノが愛おしくなりまして、やはりこれは歳のせいか。少年時代へのノスタルジーに浸っているだけ、懐古趣味だと言われれば全くその通りなのですが、幼少の頃に出会った科博のティラノ(新秘宝館Vol.10)が私のティラノの原点だなとしみじみ思う今日この頃です。もはやゴジラ立ちティラノは絶滅寸前で、図鑑や博物館からは殆ど排除され、恐竜公園や古書店の図鑑などで古びた姿をさらしているのみ。生まれた時から尻尾を上げた恐竜を見ている今の子供の眼にはゴジラ立ちティラノはどのように映っているのでしょうか?

*前にも書きましたが「大阪市立自然史博物館」はティラノこそ有りませんがゴジラ立ちアロサウルスの骨格他懐かしい展示があり、ベテラン恐竜ファンの涙を誘っています。

そんなゴジラ立ちティラノへの思いを、先日、恐竜倶楽部の飲み会で、居合わせた某博物館の若い学芸員の方にぶつけてみました。「ティラノ、一瞬でもいいからゴジラ立ちしませんかね~?」「そんな事をしたら骨折してしまいますよ。」とにべもない返事。残念、でもせめて模型で見たい…というわけで、今回はゴジラ立ちティラノサウルス大集合。

まずは「今時のティラノサウルスをゴジラ立ちさせよう」です。思えば70年代の終わり頃、尾を上げて闊歩するティラノの姿に感動して、当たり前のようにゴジラ立ちしていた当時のティラノ模型を水平姿勢に改造して喜んでいた(秘宝館Vol.3)のが夢の様です。人生の縮図というやつでしょうか…。

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と、しんみりしてしまいましたが気を取り直して、まずはお手軽な所で関節が可動するフィギュアを立たせてみました(①)。左からポーズ・スケルトン、ほねほねザウルス、アニア(羽毛バージョン!)、CARNAGE(秘宝館Vol.42に出演)、海洋堂リボルテック。で結果、ゴジラ立ちはバランスが悪くともすればつんのめってしまう事を立証する羽目になりました。

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次は今回最も気合が入ったもの。ジオワールド社(日本では童友社)から15,000円程で発売されていた、なんと1/10の巨大な骨格模型をゴジラ立ちにしました。当初はこんな感じ(②)でした。頭の付き方を修正した他はキットのままなのですがなかなか格好良いと思いませんか?それもそのはず、お子様向きに簡略化され変に着色されていますが、これは元をただせば、あのブラックヒルズ社製「スタン」なのです。気に入っていたのですが硬質ゴムの様な材質が自重に耐えきれず、1年もしないうちにへなへなになってしまい、そのまま放置してありました。今回立派に蘇った姿を見てやってください~世にも珍しいゴジラ立ち「スタン」です。とにかくでかい!全高57cmあります。本物(ブラックヒルズ製)とのツーショットも(③)

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「ゴジラ立ちさせよう」プロジェクトはここまで。この後はゴジラ立ちティラノの模型・おもちゃの類を全紹介といきたいところですが、それこそ星の数ほどもあって、家にある物だけを紹介するにも1年以上はかかりそうなので、ここでは特に思い入れがあるベスト3と、50年代~70年代の定番フィギュアをいくつか紹介いたします。

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第1位:50年代の科博土産の石膏模型
新秘宝館Vol.17をご覧あれ。

第2位:ITC社骨格プラモデル
これも秘宝館Vol.56で紹介済みですが、改めて(④)。改装前のニューヨーク自然史のAMNH5027をかなり忠実にモデル化した傑作プラモです。写真は1980年ニューヨークで、初めてのティラノとの対面に歓喜して撮ったもの。当時の日本にはティラノサウルスの全身骨格は無かったのです。秘宝館Vol.20もご覧ください。

第3位:オーロラ社プラモデル
こちらも秘宝館Vol.10,Vol.57をご覧ください。このプラモ、80年頃にはもう見かけなくなっていて、何年か探したあげく千葉の模型屋にあるという情報を得てはるばる買いに行った覚えがあります。

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そして洋物(⑤)と和物(⑥)の懐かしフィギュア。和物の右はティラノのソフビ。別に意図したわけではないのですが並んでオイデオイデしている様は何かシュールですね。

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21世紀になっても確信犯的なゴジラ立ちティラノはいくつか発売されています(⑦)。左はフェバリットの荒木さん原型オールディーズシリーズ(もう一種類あって、そちらは神流町恐竜センターに出張しています)。とPAPOの最初のバージョンの物。顔はJPですが立派にゴジラ立ちしています。PAPOは最近もゴジラ立ちしたクリオロフォサウルスを出していて、なかなかやってくれます。他にもチョコラザウルスのシークレットとか、レッズの「レトロクラシック恐龍」などノスタルジック系がいくつかあります。
右は同じノスタルジックでも映画、ドラマのキャラクターを忠実に再現したモデル。大きいのは(全高約30cm)TV特撮ドラマ「恐竜探検隊ボーンフリー」のティラノで、円谷物では珍しくモデルアニメーションで動かされていました。小さい方は映画「極底探検船ポーラーボーラ」で活躍した着ぐるみティラノで、投石機のおまけがついています。どうせなら人のフィギュアも付けて欲しかった…。

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最後のティラノは、ゴジラ立ちスタンと並んで今回の目玉、「お宝」です。記憶に間違えが無ければ、海洋堂ホビーロビーが澁谷の神泉に有った頃(80年代後半)、そこのショーケースでお目にかかった物。レジンキットですが海洋堂初期のカタログにも載っておらず、詳細は判りません。10年以上も前に高円寺の「ゴジラ屋」というアンティークトイショップの棚で発見。ジャンク品という事で500円で購入したものの左足首から先が欠損していて、修復しようと思いつつも面倒なのでつい先延ばしして今に至ってしまい、今回、これを機会に直さなければ一生手を付けないだろうと一念発起して、エポキシパテで足を自作し大復活させた物。まあまあうまく出来たかなと。1/20位の大きさで重量感たっぷり。威風堂々としてとても格好いいです。左足以外は手を加えていません。いい感じに仕上がっているので、もしかしたら神泉で見た展示品そのものかもしれないなどと想像してしまいます。もしそうならドラマですねえ。(⑧)
*このティラノをご存知の方、ぜひ御一報ください。

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神流町恐竜センターで開かれている企画展「フィギュアで見る変化する恐竜たちの姿」の画像が送られてきました(⑨)。普段は狭い棚に所狭しと並べられている我家のフィギュア達が、ライトアップされキャプションを付けられ綺麗に展示されている様は感無量です…ん?前にも同じ様なことを書いた気が…。ともあれ、これだけの数のフィギュアを集めた恐竜展は珍しいと思います。若干行き辛い場所ではありますが、足を運んでいただけたら嬉しいです。
*神流町(旧中里村)恐竜センターの昔のグッズについては秘宝館Vol.2,Vol.48もご覧ください。

田村博氏

田村 博 Hiroshi Tamura

ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。

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