新恐竜秘宝館

Vol.17 大願成就!あの科博の石膏ティラノが我が家へ!

「恐竜秘宝館」の連載が始まったのが2003年9月、実に10年以上も経っているという事実に改めて愕然としますが、その記念すべき第一回で紹介したとっておきの恐竜グッズが、昭和30年代に国立科学博物館で売られていた石膏製のトリケラトプスとディメトロドン。残念ながら私の物ではなく、高名な作曲家・サックス奏者にして恐竜愛好家の、本多俊之氏からお借りした物でした。(秘宝館Vol.1)

私が本多さんの石膏恐竜の存在を知ったのはさらに時を遡った「ジュラシック・パーク」以前の時代ですから、もう20数年前になります。ある音楽雑誌で、本多さんが自慢をしている、どこか覚えがある石膏製ディメトロドンに眼が釘付けに。たしかに小学生の頃上野の科学博物館で買ってもらいお子様らしく台座から外して戦わせて全滅させた4頭の石膏恐竜のひとつに間違いありません。(*ちなみに本多さんは、なんとオリジナルの箱のまま大事に保管していたのです。この辺りが後に社会で成功する人物とそこそこの人生を送る者との差か?)

本多さんとは同業者として知らない仲でも無かったので早速コンタクトを取って拝ませてもらったのでした。以来4半世紀、街に古物商あれば万が一の可能性を期待してのぞいてみたり、ネット社会になってからは何か情報は無いかと検索しまくり、10万円位出すから見つけさせてくれと念じたり。しかし手掛かりすらなし。機会があって、科博の冨田幸光先生や真鍋真先生にお聞きした事があるのですが、お二人とも見た事が無いとおっしゃっていたので科博にも現存しないようです。

そしてついにその日が…。
まだ道路わきに雪が残る3月1日、いつものようにヤフオクで「恐竜→アンティーク」とチェックしていた私は「恐竜・古い模型・オブジェ」とそっけなく題された画像に一瞬息がとまりました。科博の石膏ティラノだという事はすぐにわかりました。生きていてよかった!大げさでなくそう思いました。それから落札までのドキドキの時間の長かった事!開始価格1000円で誰も入札していなかったのですが結局2100円でめでたく落札し無事我が家にお迎えしたのでした。手に取った第一印象は「こんなに小さかったのか!」子供の頃の手の感触がそのまま心の奥底にインプットされていたんですね~。

これが石膏ティラノサウルスです。(写真 1)
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石膏トリケラトプスとディメトロドン 本多俊之氏所蔵・秘宝館Vol.1より転載。(写真 2)
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残るはステゴサウルス。はたして生きている間にお目にかかれるでしょか?

この土産が売られていた昭和30年代~40年代当時の科博の恐竜ホールの様子(タルボサウルス骨格はまだ無く、アロサウルス骨格がエントランスに展示され、ホールにはティラノの生態模型が置かれていた)を伝える画像はあまり残されていません。「新・恐竜秘宝館Vol.10」のモノクロ写真で私を見降ろしているのが石膏モデルのもとになったティラノですが、他のティラノの写真は見つけることができませんでした。ところが思いもよらないところにカラーの映像が残されていたのです。1965年制作の東宝特撮映画「フランケンシュタイン対地底怪獣」のなかで、ほんの20秒くらいのシーンですが当時の恐竜ホールが映し出されます。
恐竜ホール(写真 3)
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エントランスのアロサウルス(写真 4)
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当時の本の表紙に使われた写真もいくつか見つけましたが、残念ながらティラノは無し。(写真 5)
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*その後の科博恐竜グッズについては「秘宝館Vol.49」をご覧ください。

さて、究極のお宝とはいえ、ご披露したのがティラノ一匹ではあまりに寂しいので、今回はもうひとつ、Ants社の「In Hand Museum」シリーズをご紹介しましょう。Ants社の製品は「秘宝館Vol.25」で【押し入れの中で永遠(?)の眠りにつく1/12アロサウルス骨格キット】を取り上げましたが、今回は頭骨の完成品シリーズ。1999年の物なので、それほど古い物ではないのですが、メーカーはもはや存在しないようですし、アメリカのオークションや恐竜マニアのHPでも殆どヒットしないので、案外お宝かも知れません。

1/10統一スケールで21種類がラインナップ(写真 6)
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ティラノやトリケラは標準サイズ、エドモントサウルスやステゴサウルスなど中型の物は食玩サイズで問題ないのですが、写真手前の方に豆粒のように散らばっている小型恐竜は1~2㎝の大きさです。拡大してみるとこうなります。(写真 7)―プシッタコサウルス・ヒプシロフォドン・ヘテロドントサウルス
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(写真 8)―ガリミムス・オヴィラプトル
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(写真 9)―ヘレラサウルス・デイノニクス 
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(写真 10)―プラテオサウルス・コエロフィシス
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最小のヘテロドントサウルス(1cm)など、もはや肉眼でディテールを確認する事も出来ないくらいです。
さすがに小さすぎると思ったのか、これら小型恐竜は1/2スケール(ヘテロドントサウルス・ヒプシロフォドン・コエロフィシス)と、1/3スケールでもモデル化され、こちらの方は、細部まで表現され、塗装・質感も見事で、素晴らしい出来栄えです。(写真 11)
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田村博氏

田村 博 Hiroshi Tamura

ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。

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