新恐竜秘宝館

Vol.12 カメよ、悔い改めます。

最近の恐竜関係の話題は、テレビ東京の番組「137億年の物語」で、イグアノドンを肉食恐竜と紹介、さらにはご丁寧に親指スパイクで獲物を刺し殺したとまで説明して恐竜ファンを唖然とさせた事件とか、「ガリレオ」の検死室の机の上にフェバリットのティラノ骨格模型が置いてあるとか、「あまちゃん」で虫入り琥珀を説明するアニメに恐竜が一瞬登場するなど、いろいろありましたが、ワタクシ的にインパクトがあったのは、なんといっても、カメが「無弓類」から「主竜形類」に出世した事です。ゲノム解読の結果、今まで原始的な爬虫類でバカだチョンだと言われのろまの代表とされてきたカメ類が、いきなり爬虫類のエリート階級、恐竜や翼竜やワニを含む主竜類の親戚として認知されたのです。
もっとも近年はそのような説が有力だったそうですが、恐竜至上主義者でカメなど眼に入っていなかった私の様な輩(なにしろ古代カメで名前を言えるのはアーケロンシネミス・ガメラメイオラニアだけ)は、幼いころに刷り込まれたカメ=無弓類という認識しかなかったので青天の霹靂でした。大いに反省し、平山廉先生の「カメのきた道」を読んで勉強します。

ふり返ってみれば、動物園の爬虫類館に行っても、カメの前は素通りしてトカゲ・ワニコーナーに一直線という、知らぬ事とはいえ失礼なことをしていました。そこで今回はお詫びとお祝いを兼ねて、恐竜の陰でひっそりと棚に収まっていた我が家の古代カメフィギュアに光を当てようと思い立ったのですが、家中探しても出てきたのはたったの12匹。これは私が毛嫌いして集めなかったわけでは決してなく、カメの場合、現生種は人気者ですが、なぜか絶滅種は不人気であまりモデル化されていないのです。たしかにシネミス・ガメラメイオラニア以外は、シロウトには現生種との見分けすらつかないという難点はあります。ちなみに古生物フィギュアシリーズをリリースしている、シュライヒ、サファリ、パポ、コレクタ、それにフェバリットにも、アーケロンですらラインナップされていません。

アーケロンと言えば、唯一映画出演した古代カメ。あの「恐竜100万年」(1966)で砂丘の上から顔を出したとたん、金髪半裸の原始人美女ラクウェル・ウェルチに、学名がつく100万年も前だというのに「アーケロン!」と叫ばれてしまう残念なシーンが記憶に残ります。(写真1)そのせいかいちばん多くモデル化されています。(とは言ってもネットでアーケロンの模型を検索するとパワードスーツが出てきてしまいますが。)
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(写真2)海洋堂1/20恐竜シリーズのひとつで、荒木一成さん原型のレジン製ガレージキット。80年代後半の物です。
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(写真3)左はおなじみチョコラザウルス(2002)、右はフランスのスターラックス(70年代。秘宝館Vol.6及び新秘宝館Vol.8をご覧ください)
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(写真4)クローバー1/50恐竜シリーズ(80年代前半。秘宝館Vol.38をご覧ください)おまけの原人フィギュアを使って、アーケロンの有名な写真をパクってみました。
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他に恐竜100万年グッズとして、公開当時マルサン商店からソフビモデルが発売されていたのですが今となってはお宝。半年ほど前に1万円で売っているのを見つけたのですが、当時の私としてはカメごときに1万円も払えるかと…。ちょっと失敗したかな、再販品も絶版だし…。(写真5)はネットから拝借したその画像です。
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アーケロンが多いと言っても、たったこれでけ。2位は4匹でメイオラニア。新生代のオーストラリア産のこのカメは、カメにしておくには惜しいほど格好良く、個人的にはアンキロサウルスよりもドエディクルス(グリプトドン類)よりもひいきにしています。

(写真6)(写真7)は以前にも秘宝館で紹介した、海洋堂、松村しのぶさん原型のレジンキット。かっこいいし我ながら上手く出来たので前後から2ポーズ。
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(写真8)左はチョコラザウルス(2001)後の二つは地元オーストラリアのヤウイ・ロストキングダム・シリーズ(2000)です。
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ガメラ好きの研究者によって学名が付けられたシネミス・ガメラは残念ながら2匹どまり。二つとも海洋堂製です。
(写真9)は松村しのぶさん作のコールドキャスト完成品。(写真10)はチョコラザウルスです。
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その他、(写真11)はヤウイ・ロストキングダム・シリーズのスッポンの絶滅種(学名判らず、現生種との区別もつかず。)。
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(写真12)は現在1/40恐竜シリーズなどを展開しているドイツのシュライヒが、かって出していた食玩サイズの恐竜シリーズの一つ。Panzersaurierと刻印されていますが、何のことやら。
hihoukan_12-12.png これが我家の古代カメの全て…。何か物足りないので、カメ以外の主竜形類の模型も探してみました。

タニストロフェウスはその特異な形状から比較的知名度が高いせいか4つほどありました。
(写真13)の手前はサファリ、奥はケナーのJPシリーズ。もちろん映画には登場しませんが、それは言いっこなし。(写真14)はチョコラザウルス(左)とスターラックス
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(写真15)左はチャンプソサウルス。右はユーパルケリア。いずれもサファリの「先史時代のワニ」チューブに入っていた物。私はユーパルケリアは主竜類だとばかり思っていたのですが、カメと逆でいつの間にか格下げされたみたいです。
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そしてまさかのリンコサウルス類。3年前に六本木で開催された「地球最古の恐竜展」にリンコサウルス類スカフォニクスがお目見えしたおかげで、会場限定のガチャポン(コンプリート出来なかったのが心残り)(写真16)や、こんな物まで(写真17)、手に入れる事が出来たのでした。
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この原稿を書くためネットで調べ物をしていたところ、古代カメのフィギュアも作っているカメマニアの方を発見しました。プロガノケリスアノマロケリス(実はふたつとも今回初めて知った名前)、そして採れたての最古のカメ、オドンケリスまでも手掛けられています。通販はやっておらずイベントで少数販売しているそうなので、そのうち何処かのイベントで遭遇出来たらいいなと思っています。
http://pub.ne.jp/WNGM/?cat_id=30463&page=1

と、ひとまず原稿を完成してチェックしようとしていたら、またしても驚愕の古生物ニュースが二つ飛び込んできました。

「鳥の祖先は草食のテリジノサウルス類?」というのもなかなか耳新しくて興味深いのですが、「マンモスの死骸から血液!」とは!

えらいこっちゃ!!

田村博氏

田村 博 Hiroshi Tamura

ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。

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