エッセイ

第60回 まだ後ろ向きかい? / トリケラトプスのツノの成長

トリケラトプスがツノを振りかざしてT.rex と戦うシーンは有名ですね。最近の研究によると、トリケラトプスは、ツノを武器というより、成長の程度や性的な成熟度合いを示すため、変化をつけて成長させたと考えられています。
何に使ったのはともかくとして、恐竜の幼体は成体を小さくしただけ、という単純な姿ではなかったのです。


向きが変わるツノの成長方向

ロッキー博物館のジャック・ホーナーとカリフォルニア大学バークレイ校のマーク・グッドウィンが、頭骨の長さが38センチの幼体から2メートルの成体まで、成長段階の異なる10体を調べました。
なお、最も小さな幼体化石については、14もの名前があったトリケラトプスで紹介しています。
その結果、目の上のツノは、右の上図の赤い矢印のように、幼い時は後方を向いて曲がって成長します。
しかし、成体になると、青い矢印のように、前方向きにカーブします。
成長するしたがって、カーブする方向が違うというのは面白いですね。
角竜の頭骨は種類によってさまざまな形状をしています。
トリケラトプスが属するカスモサウルス類(亜科)の目の上のツノは、前方にカーブしているものが多いのです。トロサウルスやペンタケラトプス、アンキケラトプスにアリノケラトプスなどです。しかし、カスモサウルスではやや後方にカーブしています。
一方のセントロサウルス類(亜科)では、鼻先のツノは立派ですが、目の上のツノはほとんど目立ちません。


矢じりのついたフリル

また、頭骨後方のフリル周囲の模様なども年齢によって異なります。
面白いのは幼体のフリル。下図にその一部を示していますが、周囲に矢じりのような小さな三角形の骨が、17個から19個ついています。
成長するにつれて、三角形の底辺が幅広く高さは高くなります。最終的にはフリルと一体化し、ほとんどわからなくなります。


性的成熟を示すのか

これらのツノやフリルの変化は、幼体を識別し、性的な成熟度合いを示すシグナルとしています。
ツノが後ろ向きのうちは子ども扱いで、交尾の相手とは考えられなかったのでしょう。
しかし、あれほど大きい頭部が性的成熟を識別するためだけとする根拠は乏しいですね。成体になると体長は10メートルほどになりますから、体の大きさで成熟度は一目瞭然のような気もします。オスとメスでの違いも気になるところです。時には、武器やオス同士の戦いにも使ったことでしょう。


参考:Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences,
   273(1602), p.2257-2761, 2006

バックナンバー